長い旅の本ガイド


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〈徒歩編〉

*日本縦断、日本一周

『ニッポン縦断日記』アラン・ブース 柴田京子訳 東京書籍 1988.10 ISBN 4-487-76105-0

一人のイギリス人が稚内から鹿児島の佐多岬まで、徒歩で日本を縦断した記録。異文化と接触した日本人の生態がいきいきと語られていて非常に興味深い。著者はさらに日本各地を歩き、『津軽』(1992)、『西郷隆盛の道』(1993)、『飛騨白川郷へ』(1994 いずれも新潮社)などの徒歩旅行記を著している。


『日本縦断歩行 42歳の冒険』森岡正裄 著・発行 [印刷:文唱堂印刷会社] 1989.5

鹿児島の佐多岬から北海道の宗谷岬まで、毎日休むことなく平均40km余りを歩き通した記録。 通過する県庁を訪ね知事からのメッセージを戴くため、スケジュール通りに歩行を続けねばならず、足の痛みをおして歩く。 荷物を軽くするため、タオルさえ1/3に切ってしまうという思い切りのよさが印象的。


『道産子が歩(ゆ)く 日本徒歩縦断3,000キロ』山西敏博 静山社 1990.7 ISBN 4-915512-24-X

稚内から佐多岬、そして沖縄縦断の徒歩旅行記。現役教師が書いたものなので、教条っぽさが鼻につく。やはり様々な人々との出会いがおもしろい。


『60歳の挑戦 日本一周連続歩行8000キロ』本田和俊 [編集・制作 神戸新聞総合出版センター 1990.12

手作りのリアカーを引いての徒歩による日本一周。沖縄縦断も含めての単独歩行。キャンプ用具も積んでいるものの夜営はほとんどせず、徹夜歩行は20数回。警察官出身の著者は、「職務質問もまた楽し」と駐在所へ立ち寄る。 旅の途中でであった若い旅人とは宿代をおごるなど積極的に交流し、また旅の便りの送り先は次第に増えて、旅の終わりには140通を数えるまでにいたる。旅の途中では細かなメモをとらなかったいうが、本書の記述は詳細で興味深かった。


『ニッポン大貧乏旅行記』藤本研 山と渓谷社 1991.8 ISBN 4-635-88535-6

日本列島をひたすら歩くことだけにこだわって一周した旅行記。観光地にはほとんどみむきもせず、ただひたすら歩く。そのただ歩いている様、ひとつも建設的でないところが印象的。


『ぬりつぶした夢 日本縦断徒歩旅行記』仲憲一 創栄出版 1992.6

日本縦断徒歩旅行記と副題にあるが、どうも修行という感じで、余裕が感じられず、いまひとつおもしろ味にかける。


『伊藤小一のぐるーっと歩いて日本一周』伊藤小一 日本商工振興会 1992.11

自ら経営する会社の社員研修として「強歩研修」を行なうという著者の日本一周7400キロの記録。伴走車が付き、ご本人は荷物も背負わず歩くのみ。野糞の話など下ネタがでてくるのが、珍しい。


『ぶらり日本歩き旅』森崎英五朗 連合出版 1993.4 ISBN 4-89772-096-6

1年をかけた日本一周の大散歩。つらい、苦しい、といった話がまったくなく、余裕があるのがいい。


『風のオデッセイ : 本州沿岸ぐるり徒歩の旅』榛谷泰明 光雲社 1994.2 発売:星雲社 ISBN 4-7952-7313-8

日比谷公園をスタートし、時計回りに本州沿岸6000キロを8ヶ月かけて徒歩でめぐった写文集。歩きの記述は余り多くなく、行く先々の人々との語らいが中心。著者は各地の昔語りを採集していたことから、古い社なども訪ね歩き、古き神々の話などにも触れつつ歩を進める。 ほかに北海道を巡る『北のオデッセイ』(山と渓谷社)、九州を巡る『南のオデッセイ』(南日本新聞社)、四国を巡る『雲のオデッセイ』(人間の足跡をたどる会)がある。


「歩く」、「眠る」植村直己 文藝春秋(文春文庫ビジュアル版) 1994.6 『植村直己の冒険学校』ISBN 4-16-811404-Xに収録

北海道の稚内から鹿児島まで52日間(1971年8月30日〜10月20日)で縦断。南極大陸横断のトレーニングとして決行したもので、所持金は3万円、装備らしきものはいっさい持たずの旅。旅行記というよりは、道中のエピソードを綴ったエッセイ風のものだが、「ただ歩くというのはじつに退屈なものですね。」とある。


『徒歩日本縦断レポート』 西山雪夫 新風舎 1997.8 ISBN 4-7974-0236-9

大学院に失望し、夢を追いかけ、自分の生き方を探るため佐多岬から宗谷岬まで歩いた113日間、3200キロの旅。かなりダイジェストで全39ページしかない。読み応えがない。


『ニッポン縦断歩き旅』クレイグ・マクラクラン 橋本恵訳 小学館(小学館文庫) 1998.8 ISBN 4-09-411151-4

アラン・ブースの「佐多への道」(→『ニッポン縦断日記』)に感銘をうけた著者が、九州の南端佐多岬から北海道の北端宗谷岬まで延べ3200キロを99日徒歩で縦断した顛末記。

著者はその後、30日間で四国八十八カ所巡礼、78日間で日本百名山踏破を達成している。(→『ガイジン夏遍路』『日本百名山よじ登り』共に小学館文庫)


『日本列島徒歩縦断! がん克服落語会』笑福亭小松 講談社1998.9 ISBN 4062093928

がんで胃と脾臓を全摘出した著者が、その手術を乗り越え、鹿児島県庁から北海道庁まで3000キロの徒歩縦断にと旅立つ。途中、血糖値の低下による意識不明などの目に遭いながらも完歩する全130日の記録。歩くことによる一期一会と自らとの対話。


『私の伊能ウオーク574日―ニッポン再発見の旅』畑中一一[ハタナカ カズイチ] 現代書館 2001.4 ISBN 4768467989

2年にわたる伊能ウォークへの本部隊員としての参加の記録。イベント色が濃く、どこへ行っても歓待をうける。雑誌の連載が元になっており、日録的でいまひとつ面白みに欠ける。


『伝々夢詩はあと歩゜っ歩゜氏の旅のにっころがし 徒歩による日本一周旅日記』堀江剛 [堀江剛]2002.3

東海道五十三次、奥の細道から始まった徒歩旅行。そのゴールを繋ぐように南北にルートを延ばし、5年半をかけ日本一周をはたす。地方ごとに道中のエピソードが綴られている。 「人間の心が円(まる)く穏やかでありたいと願って」円形の冊子となっている。


『風と歩いた二年間―私の伊能ウオーク』西川阿羅漢[ニシカワアラオ]  現代書館 2003.2 ISBN 4768468446

伊能ウォークに本部隊員として参加した体験記。通過県ごとにエピソードを重ね、団体であるくことの良し悪しにも言及している。メリハリがあり面白かった。


『あきつしま道 日本列島徒歩縦断吟行』伊藤高甫 新風舎 2003.5 ISBN 4-7974-2896-1

札幌から沖縄まで、古人の例にならい日本を徒歩で縦断しつつの吟行。その俳句と同様にゆく先々の描写は、写実に富んでいる。その行程の途上アメリカの同時多発テロの報に接し、思いを馳せる。後半やや端折りぎみながらも広島、長崎、知覧を訪ね、最後は沖縄摩文仁の丘で鎮魂の旅は締めくくられる。


『旅は歩いて 日本一周・野宿紀行』飯野頼治 八月社 2004.4 ISBN 4-939058-05-0

教師を定年退職した著者は、二度目の日本一周に旅立つ。三年に分け、徒歩で6600キロを踏破。177日間、すべてテント泊という老春の旅。行く先々で35年前の青春の旅を回想する。日本一周とはいえ沿岸をたどらず、おもに山村を巡っていくコースどりがユニーク。


『日本縦断 徒歩の旅』石川文洋 岩波書店(岩波新書) 2004.5 ISBN 4-00-430891-7
『てくてくカメラ紀行』 石川文洋 [エイ]出版社([エイ]文庫) 2004.10 ISBN 4-7779-0226-9 

著者は65歳、宗谷岬から那覇まで3300キロ、5ヶ月におよぶ徒歩縦断の旅。岩波新書は150日一日も欠くことなく綴られた記録。[エイ]文庫は写真を中心に構成。カメラマンの目が日本の今の様子を捉えていく。年配の人々に向けられる眼が優しい。


『80歳、歩いて日本縦断』石川文洋 新日本出版 2021.2 ISBN 978-4-406-06555-9

著者2度目の日本縦断、宗谷岬から那覇まで3500キロ、足掛け11ヶ月におよぶ徒歩の旅。前回は日本海側、今回は太平洋側を歩き、東日本大震災の被災地、西日本豪雨の被災地、九州地震の被災地を巡る旅となった。 略図でもいいからコース図がほしかった。


『日本縦断リハビリ歩き旅 宗谷岬から佐多岬まで3107キロ』 服部武 (編集協力:サトー編集企画室 製造:文源庫) 2004.10

脳出血のリハビリとして一念発起、宗谷岬から佐多岬までのリハビリウォーキングにひとり旅立つ。自宅から出発地、到着地から自宅までの行程も記された日記なのだが、京都から下関間は途中心臓病の手術をするなど 「精神的にも肉体的にもグロッキーで書く気になれず」と日々の行程を記すのみとなっている。無理はせずの一環なのだろうが、道端で眠ったりするのが印象的。本来の行程とは別だが、自宅の三重県から北海道や東北へのアプローチにフェリーを使っているのが、目を引いた。


『八十爺のてくてく日本列島縦断日記』 堀之内芳郎 新風舎 2005.4 ISBN 4-7974-5045-2

3年に渡り、与那国・波照間島から宗谷岬まで3500キロを徒歩で縦断した旅日記。「生来の詮索好き」という著者は、旅先での疑問を帰ってから調べて記していく。 それにしても、年齢を感じさせない健脚さには感心するばかり。時分単位で細かく記された旅日記は珍しい。


『泣き虫男、歩いて日本一周してきます〜9024km 416日の旅日記 試練編〜』 中林あきお [エイ]出版社([エイ]文庫) 2005.7 ISBN 4-7779-0369-9
『泣き虫男、歩いて日本一周してきます〜完結編〜』 中林あきお [エイ]出版社([エイ]文庫) 2006.3 ISBN 4-7779-0515-2

(試練編)仕事も結婚生活も半端に終わった男が一念発起。何かをやりとげるために、日本一周に旅立つ。その旅の途上、出会った女性との間に子どもができ、結婚することに。一周までは、まだ途半ばで試練編は幕を閉じる。

(完結編)結婚することになっていた彼女と別れ、著者は再び旅立つ。歩きの行程よりも滞在した沖縄や四万十川、そして奇しくも災害ボランティアとして参加することになった海山町の記述が多くなる。その中での出会いに触発されていく。


『“じんじく”のニッポンてくてく縦断記』 杉本允 武田出版(発売:星雲社) 2005.10 ISBN 4-434-06931-4

70歳の著者は、片肺と肋骨7本を切除した身ながら、沖縄の与那国島から北海道納沙布岬まで四最端地を踏破。途中、気管支炎での静養以外はほとんど休まず、歩きつづけた3900キロ141日間の徒歩旅行記。 巻末の資料編は詳細で、「歩いて日本列島を縦断した男たち」などのリストもある。


『日本列島一周徒歩の旅 270日 8296kmの記録』 吉村靖夫 山文社 2006.7 ISBN 4-87926-092-4

定年後、まず宗谷岬まで歩き始めた著者だったが、「体のほうはもっと歩いたら?と催促している」とさらに歩を進める。航路を利用して波照間島まで足を延ばすが、記述は比較的淡々としたもので、ゴールの様子もあっさりしている。


『日本縦断徒歩の旅〜夫婦で歩いた118日〜』 金澤良彦 京都新聞出版センター 2007.8 ISBN 978-4-7638-0590-4

鹿児島佐多岬から北海道宗谷岬まで、手作りの4輪カートを押しての夫婦旅。旅先で出会う人々にエコライフを説きつつ歩みを進める。 技術屋さんらしく旅の途上でもカートを改造したりする。三陸海岸沿いのコースをとるのは珍しく、リアス式海岸の道は蛇行よりもアップダウンが激しいというのは納得。宗谷本線安牛駅でのテント泊がハイライト。


『一宿一通 こころを紡ぐ ふれ愛の旅』 金澤智行 講談社 2007.11 ISBN 978-4-06-214301-1

インターネットテレビ「あっ!とおどろく放送局」の番組として企画された日本一周徒歩民泊の旅。泊めてもらった宿主から次の宿主に手紙を書いてもらうのがルールで、 本の中身も宿主とのふれあいに費やされ、徒歩旅行の記述はほとんどない。


『日本一周 歩いて16年』 早川吉夫 一莖書房 2010.4 ISBN 978-4-87074-163-8

自宅から歩き始め、16年かけて日本を一周し自宅でゴール。100回にわたる旅の様子を詳細に綴る。毎回の旅のスタート地点への行程とその旅のゴールから自宅までの帰り方も律儀に書かれている。 青函トンネルを歩くイベントにも参加しており、北海道、本州、四国、九州を歩いて繋いでいる。


『日本縦断てくてく旅 3000キロの挑戦』 望月五郎 (編集:弘文舎出版 発売:静岡新聞社) 2010.4 ISBN 978-4-7838-9775-0

稚内の宗谷岬から鹿児島の佐多岬まで118日をかけての徒歩行。毎日綴られた旅の様子は宿泊場所探しの描写が多い。しかし、ゴールの描写はあっさりとしたもの。「これから旅に出る皆さんへ」という1章が設けられており、 具体的なアドバイスが書かれている。その冒頭に「旅の最中は思いのほか孤独でした。」とあるのが印象的。写真も多用されているが、サイズが小さいのもばかりで、これは写メが元になっているらしい。 出版社とは別に編集者が関わっているためか、このての紀行本としては珍しくカラフルな造本。


『信じた道がいつか本当の道になるように ガチで徒歩日本一周721日の旅』 大場祐輔 彩雲出版(発売:星雲社) 2010.12 ISBN 978-4-434-15288-7

東京ディズニーランドから東京ディズニーランドまでの徒歩日本一周の記録。「やりとげるために旅にでたのだ」という著者は、時にカラスに食料をさらわれ、時に熊に遭遇つつ、内省を深めていく。 旅行記で食べる話や寝る話は多いが、出す話(ウンチングスペースの公式という一節)は、珍しい。


『日本列島縦断歩き旅−宗谷から佐多へ−』 方波見光彦 エルアイユー 2011.3 ISBN 978-4-901983-07-5

4回にわたり85日間、2951kmの歩き旅。汗だくの姿でレストランに入るのははばかられるといった記述が頻出。自分の歩いている姿が他人からどのように見られているかを気にする様子が印象に残る。 前半は歩く沿道の観光施設にも立ち寄っているが、後半は歩きが優先。カメラは持たず、ケータイで撮影。ケータイは、宿泊場所の検索でも活躍している。毎日の宿泊の記述が細かい。


「日本縦断徒歩旅行−宗谷岬から佐多岬まで−」 田中雄次郎 農山漁村文化協会 2012.8 『宮本常一とあるいた昭和の日本25青春彷徨』ISBN 978-4-540-10243-1に収録

19歳の青年が67日で歩き通した記録。文章は稚拙なところもあるが臨場感にあふれている。サイダーで腹を膨らませ、食堂にはいっても飯と味噌汁のみの注文。いかに金を掛けないかを心がけ、道中で拾ったお金は1000円を越えた。 初出は「あるく みる きく」138号(1978年8月)。未成年ながら飲酒の記述も多い。


『日本百名山ひと筆書き グレートトラバース』 田中陽希 NHK出版 2015.5 ISBN 978-4-14-081672-1
『日本2百名山ひと筆書き グレートトラバース2』 田中陽希 NHK出版 2016.5 ISBN 978-4-14-081700-1
『田中陽希日記 日本3百名山ひと筆書き』 田中陽希 平凡社 2022.8 ISBN 978-4-582-83897-8

[1]屋久島の宮之浦岳から利尻島の利尻山まで、シーカヤックで海を渡り、陸地は徒歩で百名山をひと筆書きで踏破する旅。 その様子はNHKでグレートトラバースとして放映された。次第に高まる応援や期待が、プレッシャーとなって旅のペースを乱していく。

[2]北海道の宗谷岬から鹿児島の佐多岬まで、2百名山を駆け抜ける。応援者との距離の取り方に迷いつつも、その声援に押され、未詳の登山道を分け入っていく。 前作の「百名山」の時よりも肩の力が抜けた感があり、筆致も軽みがあって読みやすい。200座の連続踏破は偉業だろう。

[3]屋久島の宮之浦岳から利尻島の利尻山まで、三百名山301座をひと筆書きで踏破する3年7か月の旅。新型コロナウイルスによる行動制限のため2か月余りの停滞を余儀なくされる。 新聞の連載をまとめたもので、数日間のトピックスを綴るため一筆書きとはいいながら断片的な感じ。コース図がないのもマイナス印象。


『孫と話したい夢の話「歩いて日本一周」ろくさんの旅』 西川壕黶@文芸社 2016.5 ISBN 978-4-286-17039-8

定年後、東海道から始めた歩き旅。中山道、甲州街道と続き、山陰、九州、山陽、北陸、東北、奥州道とそれぞれの旅をあまり間をおかずに歩き続ける。 その後、北海道縦断、四国遍路と約2年7か月にわたる記録。一日も欠くことなく歩行距離と歩数、そして宿泊場所を記している。記述はさりげないがその健脚ぶりが印象的。文庫版ながら720ページを越える大著。


『列島縦断574万歩』 上野啓一 講談社エディトリアル 2016.8 ISBN 978-4-907514-58-7

自宅から歩きはじめ、東海道を踏破。その後、北海道、九州、山陽道、そして最後に奥州路を歩いて自宅に戻り、日本列島に一本の足跡を記す。足掛け6年、130日に渡る旅の記録。 記述は北からになっているが、実際の順とは異なるため、旅の習熟度が行きつ戻りつする。 なお、北海道編は先に『ヒグマ徒歩記』として刊行されており、その焼き直しなのだが、そのことにはまったく触れられていない。


『ニッポン縦断だより 佐多岬から宗谷岬までの100日間徒歩の旅』 水野谷英敏 山と溪谷社 2017.2 ISBN 978-4-635-88654-3

アラン・ブースの『ニッポン縦断日記』に感化され、著者はブースとは逆に佐多岬から宗谷岬へ日本縦断を目指して歩き始める。最初のうちこそ朝7時頃スタートし 午後3時頃当日のゴールという日程だったのだが、日中の暑さを避けるため次第に出発時間が早くなり、北海道に入ってからは、午前3時、4時が当たり前になり、時には2時半スタートの日まで。 幹線道路への文句は折に触れ語られるも行程は詳細に記されている。


『歩いて歩いて日本縦断3000キロ  宗谷岬〜薩摩半島』 平尾忠次 清風堂書店 2017.7 ISBN 978-4-88313-862-3

著者は還暦を過ぎてから宗谷岬から日本縦断を目指して歩き始めたが、体調不良で1/3ほどの山形県で中止。しかし時がたつに従い、旅への思いが募り、4年後に再開。 以後は無理せず、毎年陽気の良い10月を選び、歩を進める。最後は不整脈に悩ませられながらもゴールする。旅先で医者にかかる様子は痛々しい。


『列島縦断&本土四極踏破63歳からの歩き旅 自宅と繋がるGPS 4000kmの軌跡』 松木崇 清風堂書店 2023.1 ISBN 978-4-86709-022-0

自宅のある仙台から南へ北へと徒歩の軌跡を繋いでいく著者。その歩みが鹿児島から網走まで達し、「私なりの日本列島縦断徒歩の旅」は一旦完結するが、コロナ禍によって国内の旅行に目が向き、 本土の四極踏破のため徒歩の旅を再開する。GPSによって記録を取り、日ごとの距離だけでなく、時速まで記されているのが珍しい。四極踏破の再開時著者は75歳。体力低下、体調不良に苦しみながらも 自宅と日本本土四極を空白を作らず全て徒歩で繋ぐ。そのこだわり方が印象的。


『街道歩き4000km 喜寿の青春賦』桐原肇 澪標 2023.1 ISBN 978-4-86078-560-4

75歳の著者は初めての歩き旅で自宅のある大阪から東海道を歩き通し、その後、西国街道、長崎街道、薩摩街道、そして日光街道、奥州街道と歩き進める。 そして鹿児島薩摩藩・鶴丸城址から北海道松前藩・松前城までの歴史街道を一本に繋ぐ。街道周辺の史跡や城址を丹念に訪ねており、災害や戦さの史碑に涙する記述が印象的。 事前の準備も相当なものと思われるが、それだけに人名や施設名などに誤字が散見されるのは気になった。


 NEW 『世紀の定規は六〇対四〇のバランスである 徒歩での日本一周の果てにたどり着いた真理』藤巻仁司 文芸社 2023.2 ISBN 978-4-286-21933-2

釈迦の教え”体解(たいげ)”を実践するため日本全国を歩き大自然の教えを求め続けた著者。東西南北にルートを伸ばして歩き繋いでいくが、夜遅くまで歩き、宿泊後の出発は午前1時、2時の早立ちという強行軍。 火傷や怪我をおして歩き続け、徹夜の歩行も辞さないというまさに修行の旅で最終盤には夜の歩行中に交通事故に見舞われる。読んでいても痛々しい。 海岸沿いだけでなく、内陸部のルートも踏破しており、歩行距離は日本一周をはるかに越えている。



*街道、その他

『デンデン虫日本をあるく おんぼろリヤカー漫遊記』おはらかいち 大和書房 1967.7

リヤカーを引いて、東京から碓井峠を越え、新潟から日本海沿いに目指すは鹿児島。途中で出会う人々との様々な交流、そして風景描写が詳細で感心する。しかし鹿児島からの帰途は、旅することへの情熱が薄れ、 本文の記述は大阪までで、あとがきに「旅行は浜松で中断、列車に揺られながら上京した」とあった。


『213万歩の旅 東海自然歩道1343kmを全部歩いた!』シェルパ斎藤 小学館 1992.8 ISBN 4-09-366061-1

東海自然歩道全線踏破の記録兼ガイドブック。(→改題『シェルパ斉藤の東海自然歩道全踏破―213万歩の旅』小学館文庫)


『ぼくは旅にでたまたは、行きてかえりし物語』杉山亮 径書房 1993

埼玉県長瀞から金沢まで、歩いて行って、帰ってきた旅日記。歩くうちに語られる自分との対話。


『パラダイス街道 大阪−東京徒歩ひとり旅』糸川燿史 双葉社 1994.12 ISBN 4-575-28399-1

大阪から東京まで歩いて綴ったフォトエッセイ(→改題『東海道徒歩38日間ひとり旅』小学館文庫)


『峠と川のオデッセイ 中山道と天竜川・徒歩の旅』榛谷泰明 人間の足跡をたどる会 2000.5

北海道、本州、九州、四国の沿岸を歩いた著者は、本州中部の内陸歩きに旅立つ。途中途中の社の祭神についての考察は、昔話を採集する著者ならではのもの。


『千曲川ひとり歩き旅』 大槻幸一郎 オフィス・エム 2001.3 ISBN 4-900918-36-9

信濃川の上流部千曲川214キロメートルを1日づつ8回で踏破。著者は林野庁に勤務し自らを山官と呼ぶ。道中を時分単位で記録しながら草花や樹木に目をやり、林業施設に関する記述も多い。


『九州自然歩道を歩く』 田嶋直樹 葦書房 2001.11 ISBN 4-7512-0819-5

鹿児島県の佐多岬から福岡県の皿倉山まで自然歩道を縦断した記録。歩きながらの水虫治療や体調管理など具体的で興味深い。モバイルパソコンと携帯電話、GPSを駆使して詳細な記録が綴られている。


『大雪越えて、四国遍路歩き旅』 阿久津鯨六 文芸社 2002.7 ISBN 4-8355-4061-1

四国遍路への旅立ちは北海道の大雪山を越えるところから始まり、日本海側を進み、淡路島を経て四国を一周。和歌山に渡り最後は高野山でゴールとなる。自衛隊出身の著者はテント泊、自炊を基本とし、全行程200余日のうち、テント泊は126泊に及んでいる。


『九州一周浪漫ウォーク 歩く醍醐味』 井上如 日外アソシエーツ 2004.5 ISBN 4-8169-1831-0

旅行記ではなく、覚書といった風で、一行のしんがりを務めた著者は、その行程を時分単位で記録していく。


『日本横断徒歩旅行 飯田線、大糸線各駅訪問500キロ』丸山正克 文芸社 2004.7 ISBN 4-8355-7597-0

70歳を目前に挑戦した日本横断記。谷あいを進む飯田線では駅を探すのに一苦労。一気に完歩をめざした大糸線では足の痛みに耐えての苦行となる。70という年齢には思われないパソコンを駆使した記述が印象的。


『長崎〜江戸歴史街道を歩く 旧長崎街道〜山陽道〜東海道の34日間』 餅田健 ゆるり書房 2004.11 ISBN 4-916159-04-7

著者は天保十三年に長崎奉行所が江戸まで囚人を護送したときの道中日記をなぞり、途中の宿場を検証しながら歩く。古希という高齢ながら、1日平均40kmを休みなく34日で完歩した健脚さ。


『東北自然歩道を歩く』 田嶋直樹 無明舎出版 2005.2 ISBN 4-89544-379-5

九州から自然歩道を歩き繋いできた著者は、奥の細道そして東北自然歩道を歩き通し、竜飛岬に立つ。


『鎌倉−ソウル2328キロを歩く 定年退職、新しい自分に出会う旅』 間宮武美 講談社(講談社+α新書) 2005.10 ISBN 4-06-272344-1

定年退職した著者はその後の生き方をみすえるため、自宅のある鎌倉から赴任地だったソウルまで徒歩での旅に出る。 日韓両国にある「鯖街道」を歩き、その文化を肌で感じつつ歩を進める。歩く旅の実践的なアドバイスも詳細。


『千葉から鹿児島へ夫婦歩き旅』 串崎吉光 新風社 2006.2 ISBN 4-7974-7979-5

銀婚式を機に千葉から実家の鹿児島まで夫婦で歩いた記録。自宅の泥棒被害を越えて70数日。実家に内緒の行程、夫婦の掛け合いも微笑ましい。


『奥の迷い道』 伊藤雅彦 東京図書出版会(発売:リフレ出版) 2006.4 ISBN 4-86223-045-8

奥の細道をたどりつつ、自らも句想を練っていく。歩く折々に様々な社会情勢にも思いをはせる。前半では時に1日40kmを越える行程もこなしていたが、後半は疲れが見える。全行程の宿泊地、旅館名の一覧が資料として貴重。


『5人のバカが富士を目指す』 橋本俊輔 ブログハウス(発売:さんが出版) 2007.1 ISBN 978-4-88096-136-1

5人揃って、無一文で東京から140km先の富士山に向かう徒歩旅行。その過程で必然的に課せられる「人との関わり」。仲間との葛藤、そして自問自答。自分の目指すところを認識する旅。


『夫婦で踏破58日 日本横断縦走700キロ』 伊賀敷洋一・晴江 文園社 2007.5 ISBN 978-4-89336-942-0

日本海の親不知から太平洋側の沼津まで3000メートル級の山々を縦走し、日本を横断する。仲間達による案内や食料の荷上げなどのサポートを得てこそ成し遂げられた踏破といったところ。 3000メートル級の高所にも様々な人々が行き交っていることが驚き。時おりはさまれる夫婦の機微がアクセントになっている。


『こけ者旅日記 所沢−青森−京都の歩き旅』 齋藤秀友 文芸社 2007.5 ISBN 978-4-286-02702-9

所沢を出発し、千葉県で太平洋に出た筆者は海岸沿いを北上していく。歩き旅とは言いながら、それに固執することなく、自分の体調やその時の状況に合わせ、バスや列車で移動し、興味のある土地では連泊することもしばしば。 前半の青森までは、途中一ヶ月の中断をはさみ、4ヶ月の行程、後半の青森−京都は、数次に分け、足掛け4年かかっている。筆者は長く障害児教育に携わり、途中の養護学校に立ち寄ったり、行く先々の人々のふれあいを綴っていく。


『琵琶湖 三十三万八千歩』 岡野忠雄 交通新聞社 2007.11 ISBN 978-4-330-97607-5

琵琶湖畔を左回りに6日間で一周。目に映る様々な事物を丹念に書き留めていく。名所、旧跡、神社仏閣にとどまらず様々な施設を拾い上げ、その成り立ちや現在の様子を記していく。言葉の選び方も教養を感じさせる。


『東京から下関・門司まで歩いたよ 夫婦で一二〇〇キロ』 大家浩一・美緒子 牧歌舎(発売:星雲社) 2009.7 ISBN 978-4-434-13358-9

京都から下関までの山陽道の様子が大半で、東海道の部分は覚書といったふう。副題に「夫婦で」とあるが、一人称の話し言葉で綴られる道中の様子の中には、夫婦の記述は皆無に近い。


『東京から歩いて長崎に着いたよ』 大家浩一・美緒子 東京図書出版(発売:リフレ出版) 2014.10 ISBN 978-4-86223-792-7

前作からの続きで、門司から長崎までの記録のため、タイトルは肩透かし。「歩きの一番初めは東京の日本橋からだった。出発の時が一番わくわくしていた…長崎のに着いた時の感慨がイマイチだった」とあり、あまり筆も弾んでいない。


『アンギャマン リアル遠足伊勢巡礼編』 左剛蔵 エンターブレイン 2010.2 ISBN 978-4-04-726339-0

大阪から伊勢二見浦までの歩き旅。テント泊で途中にある神社仏閣に参拝しながら進む様子を漫画で記録する。それぞれのコマの背景はすべて写真でオールカラーという異色の1冊。


『みちのくテクテク一人旅 水戸城から久保田城まで百万歩の旅』 鈴木昭悟 無明舎出版 2011.4 ISBN 978-4-89544-535-1

郷土史に興味を持つ著者は、故郷秋田の藩主佐竹氏が常陸から出羽へ転封された史実にのっとり、その足跡を追う徒歩旅行に出る。沿線のゆかりの場所を丹念に訪ね歩き、時には見学のために滞在する。徒歩での移動にはこだわるものの歩くことが目的ではない旅行記だった。


『インドまで7000キロ歩いてしまった』 権二郎 彩流社 2011.8 ISBN 978-4-7791-1613-1

神戸から運動のつもりで歩き始めた著者は、山陽路を歩き通した後、フェリーで韓国に渡り半島を横断。さらにフェリーで中国に渡り、ベトナム、ラオスとあゆみを進める。タイを過ぎ、ミャンマーに入るが、外国人が入れない地域もあり、ついに歩きつないできた足跡がと切れる。 仕方なく、バングラデシュから再び歩きはじめ、インドのコルカタまでの7000キロ余りの徒歩旅行。危険な目に会うこともなく、現地の人々の様子を伝えてくれる。


『駄歩だほ日記 おっさんが、歩いた泣いた「おくのほそ道」』 上川謙市 彩流社 2012.4 ISBN 978-4-7791-1780-0

奥の細道の日程に沿った歩行を志すものの最初から目論見がハズレ、新幹線で仙台へ直行し、芭蕉を追いかける。芭蕉が見たであろう景色に思いを馳せ、歌枕などを訪ね歩く。 最後は、最初に飛ばしてしまった東京〜仙台を歩き、芭蕉の行程に遅れること半年でゴール。自分につっこみを入れつつ綴られる旅の日々の行程は詳細で面白かった。


『ヒグマ徒歩記』 上野啓一 パレード 2012.10 ISBN 978-4-434-17182-6

宗谷岬から松前までの769キロを歩き通した記録。途中、途中でヒグマの出没状況に神経を使いながらの歩き旅。 北海道の徒歩旅行の三大天敵として「ヒグマ」「クルマ」「スズメバチ」をあげている。


『六十歳からの歩き旅 日本全国一万三千キロを踏破!』 黒澤光彦 文芸社 2012.12 ISBN 978-4-286-12456-8

10年間で日本全国13000キロを踏破したコースの中から記憶に残る旅を綴る。いくつもの旅を紹介していることもあって、記述はあっさりしている。その中でユニークなのは「千葉県境をぐるり一周」。 県境に山岳地域が無い千葉県ならではのコースでなるほどと思う。


『七十歳からの歩き旅 富士山・琵琶湖・信濃川…日本一を歩く!』 黒澤光彦 文芸社 2017.6 ISBN 978-4-286-18020-5

前作に引き続き、自身が踏破したコースの中から日本一をテーマにした旅を綴る。サブタイトルに挙げられている中では信濃川の遡行が印象的。川の堤防に掲げられた「河口から〇km、標高〇m」という標識がそのまま歩いてきた記録となる。 また、巻末に掲載されている「私の歩き旅一覧」とそれを地図に落とし込んだ筆者の足跡が圧巻。日本中を縦横無尽に歩き回っている。


『歩く旅の本 伊勢から熊野まで』 福元ひろこ 東洋出版 2013.4 ISBN 978-4-8096-7686-4

熊野古道の伊勢路を歩く著者は、その時々で導かれるように様々な人との出会いを重ねてゆく。道中の描写は詳細で、歩く旅のアドバイスも豊富で実用的。


『本州横断「塩の道」ひとり旅 旅路に想う同世代人が歩んだ戦後半生』 菅卓二 論創社 2013.6 ISBN 978-4-8460-1252-6

傘寿を迎える著者が、静岡・御前崎から新潟・糸魚川まで再度踏破する。折々で語られる同世代人の半生。その半生記の部分が結構なページを占めており、旅行記としての魅力を減じている。


『平成中山道一人旅』 成知瑠杏 暗黒通信団 2013.8 ISBN 978-4-87310-191-0

大学生である著者が、一日平均40km弱のペースで中山道を踏破した17日間の記録。20数ページの小冊子で簡潔な記述だが、旅の様子を過不足なく伝えている。


『80歳、長距離歩行者の孤独 肉体に賭ける』 大石俊一 文芸社 2015.1 ISBN 978-4-286-15806-8

帯に「総日数74日、総時間453時間57分。これは、80歳で、青森県の龍飛岬から鹿児島県の長崎鼻まで、一歩一歩、歩き通した時の記録。」とあるのだが、本文には行程表が掲載されているのみで旅の様子はほとんど記載がなく、本書の2/3は著者のエッセイ。


『東日本縦断トコトコ歩き旅』 原田俊美 幻冬社メディアコンサルティング(発売:幻冬社) 2016.12 ISBN 978-4-344-91068-3

古希を迎えた著者が千葉県浦安市から故郷の青森県おいらせ町まで約800kmを歩いた42日間。ツイッターで発信された「旅日記」を書籍化したもので、左開き、横書き、カラー写真満載の1冊。 まさに「つぶやき」といった練られていない記述が続く。出発前の準備の記述が案外珍しい。


『中山道六十九次徒歩の旅絵日記』 長坂清臣 文芸社 2018.12 ISBN 978-4-286-19893-4

中山道を歩きつつ、気に入ったところでスケッチをしながらの旅。のべ14回にわたり35泊をかけた踏破行。素朴なタッチのスケッチは「絵日記」の名にふさわしい。著者は建築が専門で、建物のスケッチは素朴ながらも意外に詳細。 一方、バードウォッチングの趣味もあり、鳥に関する記述もあるのだが、鳥の絵のほうはどれも見分けがつかない。


『翁の街道ひとり旅、そして夢想』 宮原一敏 文芸社 2020.2 ISBN 978-4-286-21352-1

第一部は「翁の街道ひとり旅」として、鯖街道の歩き旅と気仙沼から酒田への酒街道ひとりサイクリングを収めている。福井県小浜市から京都府出町柳までの鯖街道では、山間に打ち捨てられた廃車や廃屋の描写が痛々しい。 第二部は「そして夢想」として、日本復活私論と題する論考を収めている。



〈マラソン編〉

*いずれも未読

『マラソン日本列島縦断 47日間宗谷岬→佐多岬3000km走り旅』関根孝二 東京通信、1997.3、1200円


『きっと忘れない 日本縦断四十七都道府県を走った』本間香代子 東洋出版、1997.11、1200円 ISBN:4809672379


『やりたいことをやるしかない! : すべてを失い43才が挑んだ日本一周ウルトラマラソン』米井政幸 毎日新聞社 1998.9 ISBN4-620-31242-8


『ゆっくりでいいんだよ がんばれ難病患者日本一周激励マラソン』沢本和雄 大巧社 2002.3 ISBN 4-924899-51-8


『63歳の挑戦日本一周7000kmウルトラマラソン』永田清人 文芸社 2003.3 ISBN 4-8355-5328-4


『がまんの三十二日間 日本列島縦断二千七百キロメートルの記録』金原由浩 文芸社 2003.8 ISBN 4-8355-6041-8


『ぐるり日本マラソンの旅』迫口克己 新風社 2006.1 ISBN 4-7974-6210-8


『日本縦断への道』岸田好雄 文芸社 2007.1 ISBN 978-4-286-04018-9



〈馬編〉

『ドンキー野郎馬で行く 日本縦断二六〇〇粁駄馬旅行珍記録』島崎保久 ルック社 1968.6

乗馬経験のない学習院大生が函館で馬を買い、鹿児島までの旅に出る。時には馬に逃げられ、落馬を繰り返し、交通事故にもめげず、2600キロの列島縦断の旅の記録。行く先々の心配の種はどこに泊まるか。馬を連れての宿探しが記述の大半を占める。

子ども向けリライト版もある。
「馬のゴン太の背にゆられ…やったぜ!日本縦断2600キロ」 島崎保久作 関屋敏隆絵 小学館 1985.11 ISBN 4-09-290011-2
「馬のゴン太旅日記 」島崎保久原作 関屋敏隆版画と文 小学館 1984.5 ISBN 4-09-727009-5

島崎氏の原作をもとに映画も製作された。
「あいつに恋して」新城卓監督作品。主演:風見慎吾、共演:森高千里 1987 東宝配給


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『東海道を馬で行く』昌子武司 文芸春秋 1990.1 ISBN 4-16-343720-7

サラブレッドに訓練を重ね、東海道を歩き通す。途中で出会う様々な人々。目を輝かせる子供たち。



〈最長片道きっぷ編〉

「最長切符旅行」東大旅行研究会 中央公論社 1962.9 『世界の旅10 日本の発見』に収録

1961年に実行された最長片道きっぷの旅。4人の学生は、旅行前のスポンサー探しから始め、24日間をすべて駅で泊まるという破天荒さ。列車に乗ることだけに費やしたひと夏の記録。

海潟(鹿児島)→広尾(北海道) 12,000kmの旅


『のんびり行こうよ 16,000キロ鈍行列車の旅』夏攸吾 弘報出版 1972.10

「この片道最長ルートができあがってみると、こんどはそれからはずれてしまう線区のことが気になりはじめたんだ。」片道最長きっぷの有効日数をめいっぱい使い、寄り道をしてなるべく多くの線区に乗っていく。

枕崎(鹿児島)→広尾(北海道) 16,000kmの旅(寄り道線区を含む)


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「いちばんなが〜い国鉄のキップの旅」『毎日グラフ増刊 日本の鉄道 新幹線』(毎日新聞社 1974.12.5)に収録

きっぷの解説は種村直樹。北と南から二組の学生が同時にスタートし、途中の新潟で出会う趣向。旅を実行した学生は種村直樹の読者?らしく、そのひとりは、後に『時刻表自由自在』等を著す辻聡。

広尾(北海道)→枕崎(鹿児島県) 12,995.3kmの旅


『最長片道切符の旅』宮脇俊三 新潮社 1979.10
『「最長片道切符の旅」取材ノート』宮脇俊三 新潮社 2008.4 ISBN978-4-10-333510-8

(片道切符の旅)国鉄全線を乗り尽くし、退職した著者が次に挑んだのは、片道最長切符の旅。そのルート作りに際して、「いい齢をした男が児戯に類した」と自ら評している。

(取材ノート)30年の時を経て刊行された最長片道切符の旅の途上で綴られたメモ。断片的であったり、旅からの連想が記されていたり、と宮脇氏の生の思いが伝わってくる。

広尾(北海道)→枕崎(鹿児島) 13,319kmの旅


『さよなら国鉄最長片道きっぷの旅』種村直樹 実業之日本社 1987.4 ISBN 4-408-00718-8

国鉄が国鉄であるうちにそのネットワークを記録するため、鉄道・連絡線・バスをも含めた最長片道きっぷの旅。その長い旅の途中、見知らぬ土地のバス中で、母の危篤を知らされた種村氏。「これが組織というものです」という職員の言葉が、やはりハイライトであろう。

国鉄バス竹下町(佐賀県)→鵡川(北海道) 17,744kmの旅(四国は含まず)


「最長片道切符で日本大縦断 稚内発肥前山口ゆき11,450.0km完全踏破」伊藤丈志 『旅と鉄道 '97冬増刊 第104号』(鉄道ジャーナル社 1997.1)に収録

雑誌「旅と鉄道」の企画による取材旅行。途中房総半島では、台風の影響で不通となり、後日未乗区間を乗り直している。

稚内(北海道)→肥前山口(佐賀県) 11,454kmの旅


『列島縦断鉄道12000kmの旅 絵日記でめぐる43日間』関口知宏 徳間書店 2004.10 ISBN 4-19-861932-8
『NHK列島縦断鉄道12000km最長片道切符の旅』「NHK列島縦断鉄道12000km最長片道切符の旅」+別冊宝島取材班編 宝島社(別冊宝島 1083) 2004.12 ISBN 4-7966-4347-8

NHKの番組として企画された最長片道きっぷの旅。旅人の関口知宏は毎日、途中駅からの中継に出演した。ゴールの肥前山口には後日記念碑が建てられた。

稚内(北海道)→肥前山口(佐賀県) 12,000kmの旅


『2001新婚旅行はJR最長片道きっぷの旅』鈴木もとよし、鈴木弥生 [自費出版 印刷・製本:富塚印刷] 2005.5

27泊28日、夫婦で駆け抜けた最長片道きっぷの旅。新婚旅行らしく各地でさまざまな観光列車にも乗車するのだが、この旅に付き合った奥さんに拍手。

稚内(北海道)→肥前山口(佐賀県) 11,471kmの旅

*著者のwebサイト「汽車旅バス旅長い旅」http://hp1.cyberstaton.ne.jp/warashibe/で購入できる。


『日本列島縦横断鉄道最北端〜最南端最長片道切符の旅』勝見治彦 熊本日日新聞情報文化センター制作・販売 2006.1 ISBN 4-87755-227-8

定年を控えた著者は、NHKの番組に刺激を受け、自らも最長切符の旅に出る。稚内から最南端の終着駅枕崎を目指し、途中最東端にも立ち寄り、ゴール後には、最西端にも足跡を記している。

稚内(北海道)→枕崎(鹿児島県) 17,744kmの旅


『最長片道きっぷの旅 稚内→肥前山口 11500キロ』佐藤孝之 [自費出版 印刷製本:フェデックス・キンコーズ・ジャパン] 2007.5(7刷 初版:2001.12)

有効期間を勘案し、5回に分けた旅は、全て、勤務先の公休のみを利用している。行く先々での駅員の反応から、他の最長きっぷ旅行者の存在が窺える。1回づつの期間が限られていることもあり、スケジュールをこなしている感が否めない。

稚内(北海道)→肥前山口(佐賀県) 11,562kmの旅

*コミックマーケット等のイベントで販売。著者のwebサイト「汽車旅と趣味の世界のページ」http://members.jcom.home.ne.jp/takasato/index.htmlでイベント参加情報が公開されている。


『最長片道切符 11195.7キロ 日本列島ジグザグ鉄道の旅』原口隆行 学習研究社 2008.7 ISBN 978-4-04-403804-2

旅の半ばに「もはや私は旅そのものに倦んでいる」という箇所があり、正直だ。そのすぐ後にイベント列車に乗車し、気分は回復するのも鉄道ファンらしい。乗車した列車の内外の様子を自分の来し方と共に丹念に綴っていく。肥前山口駅は著者にとって思い出の駅であり、そのゴールは味わい深い。

稚内(北海道)→肥前山口(佐賀県) 11195.7kmの旅


〈ヒッチハイク編〉

『日本列島ヒッチハイク・サイクリングの旅』渋谷直弘 鷹書房 1973

前半は、稚内から奄美までの「裏日本」ヒッチハイク旅、後半は日向から釧路までの「表日本」サイクリング旅。共に旅の体験記だけでなく、入門から始まり、 ヒッチハイクやり方、サイクリングの仕方を説いている。


『Enjoy Today 無一文、約日本一周ヒッチハイクの旅』青野英 新風舎 2003.7 

写真が主で、文章は長めのキャプションといったところ。旅行記としては、ものたりない。


『犬連れ北海道3000キロの旅』武岡史樹 [エイ]出版社([エイ]文庫) 2005.5 ISBN 4-7779-0336-2

大型犬を連れてのヒッチハイク旅。ハンデと思われそうな犬連れであることがヒッチハイクにプラスに働いている。世の中犬好きが多い。


『ヒッチハイクで日本一周』山添勝志 長崎出版 2007.8 ISBN 9784860951887
『ヒッチハイクで日本一周 望郷編』山添勝志 長崎出版 2009.8 ISBN 9784860952952

ヒッチハイクでの日本一周を目指す著者は、沖縄本島一周からスタートし、まず沖縄の離島をめぐる。九州に上陸するまでに約一ヶ月、本書の1/3を費やす。 鹿児島からはスピードが上がり、途中アルバイト期間を挟みながらも一月あまりで、北海道に到達。さらに礼文島で一月以上のアルバイトを挟み、折り返しとなる宗谷岬に到達したところで本書は終わる。 アルバイトの期間も毎日の出来事が記されるため、印象としては停滞している感が強い。

【望郷編】宗谷岬から再び日本一周の旅を再開するものの、仲間と再会するため道内を行きつ戻りつし、東北から関東へ。小笠原の旅をはさんで東海道、関西へ進み、そして前代未聞?のヒッチハイクでの四国八十八ヶ所遍路。 ゴールとなる屋久島では、様々な人々に彩られた旅を振り返る。


『俺の旅 518日ニッポン縦断強制放浪』和田虫象 鉄人社 2008.2 ISBN 9784990073046

雑誌(「裏モノJAPAN」)の企画で日本を縦断する旅にでることになった著者。四国での遍路体験を除けば、移動の手段はもっぱらヒッチハイク 。しかし、ヒッチハイクそのものの記述は少なく、ゆく先々での出会いと経験にページは費やされる。女性関係もかなり赤裸々。面白かった。


『instrumental journey』歌代隼人 [自費出版 印刷:石川特殊特急製本] 2009.4 

東京〜沖縄往復のヒッチハイク。トランペットを携え、目指すは沖縄最南端での全裸演奏。行く先々での出会いは偶然ではなく必然と、人とのつながりを熱をもった語り口で綴っている。


『ヒッチハイク女子、人情列島を行く!』池田知晶 徳間書店 2011.2 ISBN 978-4-19-863116-1

1年4ヶ月をかけてヒッチハイクで47都道府県を巡った旅エッセイ。途中精神的な限界から2度ほど実家に帰るあたりがリアル。また、泊めてもらう、あるいは言い寄ってきたきた男が泊めさせるための交渉が生々しい。 「日本一周」を掲げているが、本の構成は千葉を出発し、各都道府県を綴り、沖縄の与那国島でゴールとなっている。


*ヒッチハイク番外*

『ツイッターで日本全国0円旅!』土井雪江 武田ランダムハウスジャパン 2010.5 ISBN 9784270005781

ツイッターを使い、移動と宿泊の支援者を募りながら日本を一周。その様子を日々ブログ等で発信する。しかしながら書籍としてまとめられたものは、その特徴が生かされていないようで、あまり臨場感がなく、 その日その日の行動記録といった感じ。準備も含めた行動力はたいしたものだと思う。


〈フネ編〉

『ヤワイヤ号の冒険』大浦範行 河村章人 朝日新聞社 1964.1 

京都の大学生を中心とした冒険クラブの面々が挑んだ手づくりヨットによる日本一周の記録。まったくの素人がヨットを製作し、日本初となる日本一周航海に乗り出す。 寄港地で見た映画「モスラ」やマリリン・モンロー死去の報、そして堀江謙一の太平洋横断の感想を求められるなど昭和36〜37年当時の世相も興味深い。

子ども向けリライト版もある。
「手づくりヨットで日本一周6500キロ―ヤワイヤ号の冒険 」大浦範行・河村章人原作 関屋敏隆絵と文 小学館 2007.8 ISBN 9784097262749


『ふたりだけのヨット旅行』神田真佐子 舟艇協会出版部(発売:天然社) 1975.1 

停年で退職した夫とともにヨット「アストロ号」で足かけ6年にわたって、本州、九州、北海道と日本を一周した航海記。その日のうちに着ける港へ、荒天の日は港に停泊。停泊地では観光旅行に出かけるといったのんびり旅行。 船上での不安、港での地元の人々とのふれあいを綴るが、「遊びの生活」「無職無収入という身分に覚える、何ともいえない劣等感がいつも心の奥底にあり」「航海中ずっと感じ続けてきた社会から切り離された淋しさ」といった言葉が印象に残る。


『港を回れば日本が見える ヨットきらきら丸航海記』岡敬三 東京新聞出版局 2009.3 ISBN 978-4-8083-0911-4  

4シーズン、17ヶ月に及ぶ列島航海。港みなとでその土地の事情を垣間見る。漁船ではないヨットはかならずしも歓迎されないが、海に生きる人々との交流が綴られる。 霧で視界の利かない納沙布岬越えでは、40年以上前にレーダーもGPSもないなかそこに挑んだ先達、アストロ号の神田夫妻に思いをはせる。


『夫と二人のヨット日本一周 : 神田夫妻とアストロ号の物語』岡敬三 角川学芸出版(発売:角川グループパブリッシング) 2011.3 ISBN 978-4-04-653749-2 

アストロ号による日本一周を新たな取材も交え、再現。神田夫妻の出会いや当時の日本のヨット事情も交え、日本一周後の様子やアストロ号のその後にも触れられていて興味深い。


『東海道中カヌー膝栗毛 鎌倉−京都間一〇六五キロ 中年カヌーイスト単独航海記』吉岡嶺二 山と渓谷社 1982.12 

神奈川県の腰越から折りたたみのカヌーで漕ぎ出し、休日を利用しながら2年半をかけ、太平洋岸を西進。紀伊半島を回り込み、淀川を遡って、京都嵐山へ。 港ではなく、カヌーを引き上げられるスロープや河原を求める様が印象的。
著者はその後、「奥の細道カヌー膝栗毛」「北前海道カヌー膝栗毛」「山陰・瀬戸内カヌー膝栗毛」と航海を続け、本州一周を果たしている。


『ロンサム・カヌーボーイ沖縄の海を行く』吉岡彰太 [発売:新星図書販売] 1988.2

沖縄本島をカヌーで一周。冒険などと肩ヒジはらず、こいでいく様がいい。


『海を歩く 北海道一周シーカヤック旅航海日誌』堀田貴之 山と渓谷社 2000.7 ISBN 4-635-28050-0

シーカヤックによる北海道一周の航海日誌。前半はパドルを漕ぐことの退屈さに関わる記述が多いが、旅が進むにつれ、自身の旅の捕らえ方が変化してゆく。


『船酔日記 フェリーのみによる日本一周旅行』野村智之 彩図社(ぶんりき文庫) 2002.7 ISBN 4-88392-281-2

フェリーのみによる日本一周旅行。綺麗な船体からコンテナ船かと思われるものまであり、発着場も様々で、フェリーにたどりつくまでも右往左往。 乗船する際も船腹の階段を登るものもある。クルーズのイメージとは一線を画する船旅の様子が興味深い。


『海を自由に旅したい 単独シーカヤッキング(カヌー)日本半周旅漕記』東條和夫 文芸社 2005.1 ISBN 4-8355-7185-1

海で遊びたい。島めぐりを楽しむに過ぎなかったカヤッキング。徳島在住の著者はだんだんと遠くに行くようになり、いつのまにか四国を一周。それから山陰、紀伊、山陽、北陸、九州、東海と漕ぎ繋いで 日本を半周することとなる。日本の西半分となったのは、土日や有給休暇を利用して旅程を組むため。時には天候に阻まれ、関門海峡の通過は3度目の挑戦でようやく成し遂げられた。


『水平線を超えろ 史上初沖縄宮崎シーカヤック単独航海』杉健志郎 東洋出版 2007.5 ISBN 978-4-8096-7547-8

沖縄から島伝いに宮崎を目指すシーカヤック単独航海。ふた夏6か月に渡る行程は、台風に阻まれ波の状態待ちのため、その都度島々で停滞に費やされる。 難所のトカラ海峡、大隅海峡では、夜間漕行で危うく遭難しかける。漕ぎ続けなければ遭難してしまうという状況の中、600円のコンパスを頼りに水平線を超えてゆく。 急ぐ旅ではないと、島々で地元の人たちと酒を酌み交わし、旅を続けていく様が過酷さを和らげている。


『タグボートによる日本列島一周の航海日誌』 渡部信次郎 センタ・テコ 2021.5 ISBN 978-4-9911882-0-6

タグボートによる日本列島一周というタイトルながら実際は本州の一周。著者は刊行時現在85歳だが、14年前の航海日誌を元に思い出すことを綴っていく。クルーは皆当時60歳を越え、そのうち一人は神主という布陣で、古事記・日本書紀や 万葉集に関わる記述が多い。また著者本人の色懺悔が随所に入ってくる。 編集や校正が入っていないようで話が前後したり、繰り返されたり、誤字や脱字も多く、意味が取れない箇所もあり、読みづらかった。


〈エンジン、モーター編〉

『ひとりぼっちの夕焼け 耕うん機で日本一周の青春』松山清一 講談社 1975.7

友人の思いつきで始まった耕うん機による旅。しかし出発直前に友人は旅立ちを断念する。「北帰行」と名付けた耕うん機に乗り、大阪を旅だった著者は、3年をかけて日本を一周。 途中様々な出会いを重ねつつ、絵を描きためていく。


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『耕うん機オンザロード』斉藤政喜 小学館 2001.8 ISBN 4-09-366065-4

様々な旅を実践するライターが選んだのは耕うん機。その旅の途上で著者は、自分に先行して耕うん機で旅をした人物の存在を知る。


『時速8キロニッポン縦断』斉藤政喜 小学館 2003.10 ISBN 4-09-366067-0

耕うん機による日本縦断を続ける著者は、先達である松山清一と出会うことになる。


『日本充電三〇〇〇キロ 男たちの“手作り電気自動車”珍道中』田口雅典, 宮崎まさ夫 海拓舎 1999.9 ISBN 4-907727-02-X

バッテリーを積んだトレーラーを引く電気自動車と伴走する電動スクーターによる日本縦断の記録。鹿児島佐多岬から北海道宗谷岬まで、3271キロ、45日間の記録。行く先々で電源を求めての様々な出来事にみまわれる。


『電動車イスひとり旅 広島県熊野町から札幌まで1830km : 僕は、僕の学んだことから逃げるわけにはいかない 』中田義輝 共同文化社 2010.11 ISBN 978-4-87739-188-1

重症筋無力症の身ながら、友人を見舞うため、時速6kmの電動車イスで広島から札幌へ向かう。日に何度か充電のため、様々な場所へとびこんでいく著者、そこで描かれる障害者と向き合う人々。 サポートメンバーや携帯電話さえ持たない無謀さの一方で、覚悟を持って旅の進める著者は自らの考えを深めていく。文体があまり深刻にならないところが、救い。


『日本一周電気自動車の旅 10万円で日本一周する方法教えます』平野徹 文芸社 2017.8 ISBN 978-4-286-18520-0

早期退職し、電気自動車リーフで旅に出た著者。日に3回の充電場所を求め、日本各地の日産の営業所を訪ねる旅となり、どうせならと全県での充電を果たすために、列島を行ったり来たり。 経費削減のため、観光は二の次で全て車中泊。記述は詳細なのだが、ですます調でこなれていない文章は、小学生の日記を読んでいるようだった。


『3人8脚さくら前線にっぽん旅』 長瀬千年 柏艪舎 2007.4 ISBN 978-4-434-10340-7

屋根の持ち上がるワンボックスカーで愛犬とともにさくら前線を追いながら日本列島をジグザグに縦断。行く先々で愛犬の散歩も欠かさない。筆者は元新聞記者でところどころで取材と称して、 地元の情報を聞きこんでいく。愛犬が狂言まわしの役となった記述で夫婦の行動を第三者的に綴っていく。


『愛犬との旅 キャンピングカーに愛犬「こゆき」を乗せて日本一周冒険記』 山口理 WAVE出版 2014.9 ISBN 978-4-87290-706-3

キャンピングカーに愛犬を乗せ、1ヵ月での日本一周。キャンピングカーでの旅なので自由度は高いのだが、期間を限定したことで日程がタイトになり、とりわけ前半の記述は端折り気味。 言わば帰途となる北海道から東北路の旅で愛犬とのふれあいが密になる。


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